2007年07月12日

アンリ・ミショー「フーコーとドゥルーズそして”襞”について、あるいはモナドなど」−3

「襞のなかで生きる」

『・・フーコーはハイデガーよりアンリ・ミショーに近く、場合によってはコクトーにも似ているとおもいます。フーコーは生の問題、呼吸の問題を介してミショーとコクトーに合流するのです。』とドゥルーズは言う。フーコーがどのようにしてミショーから霊感を受けたのか、わたしは知らない。しかも『フーコーにとってミショーは着想の源になりえたのです。』とも語っている。ドゥルーズがどのようなことを指して言っているのか、わたしは理解してはいない。ただミショーが”襞”について語っているところがある。その文面をみると手がかりはある。

CG12-50Yell2

アンリミショーD

 

 

CG12-50Yell2
「ミショーとその影」

 

 

 

 


 

ドゥルーズは”この襞”についてのミショーの考えがフーコーに限りなく接近していると指摘している。もっともドゥルーズの襞に関する考え方は、マラルメに対しても指摘している。『・・襞は、おそらくマラルメにとって最も重要な概念である。』と言い、『”エロディヤード”は、すでに襞の詩なのである。』とさえ言っている。それと同時に『・・”書物”あるいは数多くの頁をもつモナド。こうして"書物”はあらゆる襞を含んでいる・・』という、ドゥルーズの思考は深く考えさせられてしまう。襞とは何か、この深い問いをわたしは語ることができない。けれどもそれを絵画的な問のしかで語ることはできる。それはドゥルーズがライプニッツの哲学を語った”襞”という書物があります。その箇所をとり上げてわたしの画像解説(CG12-50Yell1/CG12-50Yell2)とします。

『・・ライプニッツは”哲学者の信仰告白”においてこう言っている。「光りは闇のまっただ中に亀裂から射すよう漏れてくる。」光りは天窓から、肘型に曲がったあるいは折れた開口部から、鏡を介してやってくるのであり、白は「いくつもの小さな鏡の反射」からなっていることを理解しなければならないのだろうか。もっと厳密にいえば、モナドは亀裂などもたず、光りは「密閉され」、これが理性まで高められるとき、それぞれのモナドのなかにともされ、内部のあらゆるちいさな鏡によって白を生じるのである。

光りは白を作り出すが、また影も生み出すのだ。生み出された白はモナドのなかの明るい部分と溶け合い、暗い地、つまり底(fuscum)にむかって暗くなり、減衰してゆくのである。この暗い底から、「多なかれ少なかれ、よく調節された陰影と色調によって」ものが生じるのである。まるでデザルグの場合のように、遠近法を反転し「眼のかわりに光るものを、物体のかわりに不透明なものを、射影のかわりに陰影を」おくだけで十分だったのだ。ヴェルフリンは、この増大し、減衰し、度合いによって伝播する光りの漸進性から何かを学んだ。それは明るさの(また動きの)相対性、明と暗が不可分なこと、輪郭の消滅であり、ようするにデカルトに対する反駁である。デカルトは光りの物理学と理念の論理学という二重の観点から、ルネサンスの人であり続けたのだ。

明るみはたえず暗がりに潜ってゆく。明暗は、ニ方向に移動することができる一つの系列にしたがってモナドをみたす。一方の端には暗い底があり、他方の端には密閉された光りがある。密閉された光りはそれが灯るときには、限られた地域に白を生み出す。しかし白はしだいに影を帯び、モナドの全体のなかの暗い底にむけて広がってゆくにしたがって、暗さに、徐々に厚くなっていく影に場を譲ってしまう・・』

 

ドゥルーズがフーコーとミショーの関係を語った箇所は「記号と事件」の第珪蓮"フーコーの肖像”で語っています。尚、襞に関してはこれもドゥルーズで「ライプニッツとバロック”襞”」で出版されています。わたしにとって、あのスピノザと同じくらい直感で感じる以外ない、そうおもえる本だ。体感し、リアルな世界と結びつかなければ、ただの言葉の遊びになってしまう。ドゥルーズが何を云っているのか、・・の解釈ではなく、己の身体にたたみ込まれた襞とは何であるのか、諸力の関係を導きだすものでなければならない。それは概念を超え、アートの世界にモロ突入する情動の世界へとむかうものでなければ、だだの学問。たえずポエジーの発生を予感するものでなければならない。

ちなみに画像掲載した絵がどのようなものであるのか、わたし自身必ずしも理解しているわけではなく、ある強度としてやって来る何ものか、そういうものです。それが絵画です。しかし言葉で表現するとドゥルーズが”襞”ということで分析し、あるいは”モナド”について語っていることがそうなのでしょう。その思考は刺激的で、わたしのイメージを刺激する。また「モナドには窓がない」という謎のような言葉も意味が深い。



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