2006年11月23日
時空のはじまり「Space-time forms」・4
D-130B2-A
「Space-time Forms 4」
ソネット----沈黙
ある種の質---ある種の合成質が存在する。
それは二重の生をもち、その故にそれは
物質と光とから発生し固体と影とにおいて
具現化されるあの双子のような本質の典型を
なしている。二つの面を持った沈黙がある
---海と浜辺--- 肉体と霊魂。
草の新たに生い茂った淋しい場所に
棲んでいるものがある。神の恵みと 人の記憶と
涙に満ちた知識の力は それを恐ろしいものでは
なくしているのだが、その名前は「もはやない」
それは沈黙の化身だ こわがることはない!
その身に 邪悪な力をそなえていないのだから。
だが 何かさし迫った運命(時ならぬ因縁!)に
導かれてその影に(人跡未踏の荒涼の地をうろつ
きまわる名なしの精に)出くわすことになった場合は
神に 自らをゆだねるがよい!
ポー詩集「訳=入沢康夫」参照