2013年01月09日
夢と生「ブッダか、あるいは仮面のピエロなのか」
BG30-20LightGr/BG30-20lightYell
夢と生
『わたしはそれが現れたとき、はじめは冗談だとおもった。暗がりからくちを半開きにし、微かに笑つている顔が見えた。あのサーカスで見たピエロによく似ていた。ところがよく見ると、上から見下ろしている仮面を被ったブッダのようにも見え、ベットの上からずっとわたしを見ている。それは、わたしが生まれるまえから知っているようで、またわたしがどこに往こうとしているのか、わかっているようだった。誰かに見られているという視線はあまり心地いいものではなかった。それを追い求めるのも不自然で、わたしはそれ以来あまり気にしないようにしている。』
このこととは直接関係はないが、マティスが幽体離脱や霊魂に興味をもっていたということは聞いている。「花と陶器、1911年」という作品はどうみても奇妙な作品である。この作品は陶器が空中に浮いているように見え、またその陶器の回りに新聞紙のようなものも浮いている。こんな奇妙な絵を見たことがない。
霊魂が大気の分子状の集積であるかのよに見えるのはマティスにとって普通のできごとなのかも知れない。わたしはそういうマティスの絵が好きなのです。それも宇宙的な分子の一部であるかのように表現し、無限空間をイメージさせるエネルギーは凄い。このように感じさせる暗黒の絵が結構あります。光りの裏側を見せるマティス絵画に魅かれます。そのことを機会があれば書きたい。「コリウールのフランス窓、1914年」の暗黒を覗いて見たい。