2012年12月

2012年12月05日

文明とエントロピー「アートはそのひとつの記録である」

この3つの作品は(1・Neon Light, 2・DEVELOP A MINE, 3・A Beam of Light)物質に対する見方を提示したものです。それぞれ連関しています。1・Neon Lightでは日常的に接している人工的な光を抽象化しモノとして、2・Develope a mineではその最初の物質を抽出した鉱山の場景を、3・A Beam of Lightではその総体としての文明を、歴史的な時間性のなかに空間化かされた都市のイメージをつくった。の作品は、負のエントロピーを維持するたにつくり出されたものの乱雑さの状態を示した。人はこれを有用なモノという。言い換えるとエントロピー増大へと向う状態にあるモノの提示ともいえる。熱力学的平衡状態にあるプロセス、つまり死へのひとつのを示した作品です。しかし生命は絶えず負のエントロピーを取り入れ、いまも存続している。その地球生命の歴史38億年経った現在でも続いている。これは偶然とも言えるし、驚異的な出来事です。その出来事を記録しているのが偶々アートであった。そのように私は行為している。

 

容の言葉

 

 

1・NEON LIGHT

色彩(光)とはどのような感覚なのか。
見えるものの現象で、私には、
人工の光と自然の光とでは、どちらが
心地いいものかの判断はできない。単純に
そこにある光として見ているだけ。
たとえ人工的につくりだした光でも、
日常生活では、それにいちいち
反応はしない。しかし深層意識では、
その残像がどこかに堆積している。
松明や蝋燭の光とは別の言葉を
持っているに違いない。
私たちは多くの言葉を持ち過ぎる。


 

 


 

鉱山

2・DEVELOP A MINE

鉱山とは思考の物質化であり、
文明のかたちを見る最初のモノである。
自然と人工の分離が始まる。
原生林の生命エネルギーの秩序を破壊し、
エントロピー増大に加担する。
都市をアレゴリー的に見るとは、
廃墟を見ること。
アンゼルム・キーファーのアートは、
決して心地いいものではない。

 

 

都市工学

 

 

3・A BEAM OF LIGHT

生命は負のエントロピーを環境から
取り込んでいる。都市が増殖するとは、
廃墟も同時に進行している。
システムを構築するとはそういうことだ。
それは、つくりだすことによって、
絶えず乱雑さが増す。この法則は、
どんなものでも成り立つ。思考をモノに
変換してゆく度にエントロピーが
増大してゆく。都市化の思考とは、
巨大な闇黒の穴。
それはエントロピーの増大
眼には見えないブラックホール。
熱平衡状態へと進む宇宙へ
周りには無数の家々が、
高層ビルが立ち並んでいる。

 

 

 

こうして私達は何千年も前から古代エジプトをはじめ、
繰り返しピラミッドのようなものをつくり、
そのエントロピー増大の乱雑さを恐れ、
永遠の生命へと向かい、かくして神を望むようになる。
「人類の一本の電子ビーム」を外へと、
外へとコンタクトする希望の星を探している。
ついには大気圏を脱出し、
宇宙船の小さな機械の中で星を眺め、
見果てぬ星々の希望を抱いて生きている。
私はベンヤミンを憶い浮べる。



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